自宅に眠ったままの書籍を活かすために
突然だが、タジク語を勉強してみることにした。
隣のアフガニスタンや、ウズベキスタンでも話者がそこそこいるようだ。
ブハラ、サマルカンドといったウズベキスタンの都市ではウズベク語とのバイリンガルのような人たちが多いという話だ。
しかし今のところタジク語が通用する地域に渡航する予定はない。
ではなぜやるのか。
理由は独学でタジク語を学べそうな教材を見つけたからだ。
以前、タジク語に関する書籍を購入したが、とても入門者が一から勉強できるような構成にはなっていなかった。
それがこのタジク語文法便覧だ。
はっきりいってこれは入門書ではないので、タジク語の知識がないとほとんど内容が理解できない。
「この本を活かすためには、まず別の方法でタジク語を勉強するしかない。」
そう思っていたところ、たまたまいい教材を見つけたのだった。
謎の出版社?から入門書を購入
タジク語関連の書籍をamazonで探しても単語集しか出てこない。
このような状態は長い間続いていたので、タジク語の学習は半ば諦めていた。
しかし、ある時「ユーラシアセンター(ベスト社)ホームページ」なるものを発見し、そこで「タジク語入門」というCD付の書籍が4,320円で販売されていることを知った。
この本の説明を読む限り内容も充実していて、独学でも何とかなりそうだと感じた。
以下、ホームページより引用。
① 11~20pまではアルファベットの発音の仕方と発音上の注意について詳しく
説明してあります。付録のCDを使って耳からタジク語の音韻体系を習得できます。
② 21~292pまでは59章から成る本章で、各章には、まず最初にタジク人の現代の日常生活を話題にした短文の原文が載っていて、原文にはカタカナで読み方の振り仮名が振ってあるのでタジク語の読み方が自然と身につきます。原文はup-to-dateな話題ばかりで、現在のタジク人のものの考え方、希望、人生観などを垣間見ることができます。タジク語の原文の後には、その章でテーマとなっている文法項目についての説明とそれに関連した例文が詳しくかつたくさん記述されています。各章の最後には計39題の練習問題が載っていて、その章で学び終えた文法項目の整理・確認には最適と言えます。タジク語はペルシア語と同系統の言語なのでペルシア語を学んでおられる方には特に学んでいただきたい言語です。また、タジク語はペルシア語と同様英語と同系統の印欧語族に属する言語で文法も比較的英語に似ているので、日本人には学びやすい言語と言えます。
③ 293~427pまでは「タジク語―日本語語彙集」になっていて、約5千語の語彙を有しています。
④ 428~429pは文法索引になっていて、語尾から文法事項が調べられるようになっています。
「タジク語クラスのマイナー言語で音声CD付でこの値段なら買うしかない!」
そう思った私はその週末に、連絡先のメールアドレスに「タジク語入門」の購入を希望することと、自宅の住所・電話番号を書いて送信したのであった。
神対応のベスト社
ベスト社にメールを送ったものの、それから数日なんの反応もないので「営業していないのではないか」と不安になった。
だが週が明けて水曜日に、無事自宅に「タジク語入門」が入ったレターパックが届いていた(我が家は札幌なので月曜発送で水曜着だった)。
まだ代金も払っていないにも関わらず送ってくれるなんて、これまで体験したことはないことだ。
カバーの上部に小さな茶色い物体が付着していたが、細かいことは気にせず学習に励むことにした。
台風の日に届いたので、土でも入り込んだのだろうか。
汚れが気になる方は、購入前に問い合わせて確認した方がいいかもしれない。
ちなみに代金を翌日払おうとしたら、地震が発生しそれどころではなくなってしまった。
結局支払いができたのは、届いて3日後の土曜日。
その間、ベスト社から特に連絡はなかった。
この会社は性善説に基づいた対応をしているのか。
あるいはタジク語を勉強する人に悪い人はいないということなのか。
いずれにせよ、なかなか体験できない買い物であった。
ペルシア語との関連について
私は15年前にペルシア語を半年程度勉強し、イラン旅行で実践したことがある。
約3週間、ずっとペルシア語を使って旅していたので、いまでも結構覚えている。
タジク語はペルシア語の一種と言っていいくらい近い言語で、文法も単語もペルシア語と共通しているものばかりだ。
そのため、私にとっては「タジク語入門」の内容もすんなりと頭に入ってくる。
また、タジク語はロシア語と同じくキリル文字を使用しており(ペルシア語はアラビア文字)、ロシア語学習者の私にとっては文字を覚える作業が省略できるのだ。
久しぶりに深く学習できそうな言語に出会ったような気がするので、しばらくタジク語の世界に浸かってみることにした。
ペルシア語が結んだ世界―もうひとつのユーラシア史 (スラブ・ユーラシア叢書)
- 作者: 森本一夫
- 出版社/メーカー: 北海道大学出版会
- 発売日: 2009/06/25
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