新たな発見
タジク語を勉強していると、あることに気がついた。
タジキスタンという国名がタジク語表記ではтоҷикистонで、「トジキストン」と発音するのだ。
国名の呼び方は、その国の中と外で異なる例はよくあることだ。
近隣のキルギスは、「クルグズスタン」であり、学術論文などでもそのように表記しているケースもある。
カザフスタンを「カザクスタン」とするものも多くはないが見かけることはある。
しかし、「トジキストン」表記は今まで見たことがない。
ひょっとしたらどこかに「トジキストン」表記はあるかもしれない、そう思ってgoogleで検索すると予想もしなかったサイトがはじめに出てきたのだった。
国家が認めた?トジキストン
それはなんと駐日タジキスタン共和国大使館であった。
大使館のウェブサイトでは、一部の記事が「トジキストン」表記になっていたのだ。
もしかしてグルジアがジョージアになったように、タジキスタンもトジキストンになるのだろうか?
今度はTwitterを調べてみた。
こちらは2018年5月から6月にかけてのツイートで「トジキストン」表記が確認された。
シルクロード上のトジキストン
— Tajikistan Embassy, Japan (@TajEmbTokyo) 2018年6月6日
中央アジアの中心に位置し、東を中国、南をインド亜大陸に囲まれた山岳国となっています。シルクロードの3つの主要ルートは現在の国土を通過していました。... https://t.co/HonYhtb0mp
しかし、その後はまたタジキスタンに戻っており、7月以降「トジキストン」表記は一切見られない。
日本語の担当者が変わったのか、それともタジキスタン政府の方針が変わったのかよくわからないが、大使館ウェブサイトの表記は9月現在「トジキストン」と「タジキスタン」両方の表記が確認できる。
もしかして翻訳ソフトを使っていたのだろうか?
また、サイト内には「駐タトジキストン共和国日本大使館」という謎の表記もあった。
トジキストン大使館には原稿チェックの甘さが感じられる。
現地の発音をどこまで尊重するか
地名や国名はあまりにも原語に忠実過ぎると一般の人に通じなくて困る。
中央アジアやコーカサスの国はただでさえ知名度が低いのに、国名を変えられると「この人、何言ってるんだ?」状態になるだろう。
私なんか昔に旅したルートを紹介すると、「カザクスタンからトジキストンに飛行機で移動してオズベキスタン、テュルクメニスタンを経由してイーラーンまで行きました。クルグズスタンはまだ行ったことありません。」なんて調子になってしまう。
こんなこと言ってたら変人扱いされるに違いない(言わなくてもされているかもしれない)。
原語の発音に忠実にするのもほどほどにしようと思う。