あこがれの新疆へ
4年前に中国の新疆ウイグル自治区を旅した。
昔からシルクロードに興味があったので、ぜひ行ってみたいと思っていたところ休みが取れたので、航空券を予約した。
最大の都市ウルムチは漢民族の住民が多いらしく、異国情緒を求めていた私はもう少し田舎に行くことを考えた。
カシュガルという町が魅力的だったが、陸路だと移動に丸一日かかってしまう。
航空券もそれなりに高い。
そこで地図を見ると、もう少しウルムチに近いクチャ(庫車)という町が目に入った。
ガイドブックを調べると周辺に仏教の壁画が描かれた石窟などがあるという。
ここなら陸路でも夜行列車に乗れば時間を有効に使えると判断し、目的地とすることにした。
事前にウイグル語学習
旅行に行くならまずは現地語の学習。
ということで、ウイグル語を学習する方法を考えてみた。
絶版になっていないウイグル語の書籍は当時「現代ウイグル語四週間」(大学書林)だけだった。
しかし、あまりの高額さと、本屋で立ち読みしたときの「これは無理だ」という直感で購入を見送った。
後に四週間シリーズコレクションとして購入したが、ほとんど読んでいない。
それで、どのように学習したかというと、ネット上を探し回ってとても便利なサイトを発見したので、お金をかけずに勉強することにした。
大阪大学世界言語eラーニングサーバ ウイグル語独習コンテンツ
http://el.minoh.osaka-u.ac.jp/flc/uig/index.html
これは無料でウイグル語を勉強できるサイトで、全部で12課の構成となっている。
うれしいことにテキストだけではなく、動画も無料で公開している。
何度でも見ることができるので言葉が自然と覚えられるのだ。
ウイグル語以外の言語も公開しているので、タダで勉強したい人にはおすすめのサイトだ。
私は渡航1か月前からこのサイトの動画を毎日見て、挨拶や数字などの簡単な表現を覚えて旅行に備えた。
ウイグル語で使用する文字はアラビア文字だが、このサイトではアルファベットでの表記となっている。
私はかつてペルシア語を勉強していたので、アラビア文字に抵抗はない。
しかし、旅行のためのウイグル語でわざわざ文字まで覚えなくてもいいような 気がしてきた。
というか、そんなに時間もなかったのと、話すことが目的なので文字の学習はしないことにした。
現地でウイグル語会話
真夏の新疆でウルムチをスルーしてクチャの町へやってきた。
市場を歩くとエキゾチックな顔立ちのウイグル人ばかりで漢民族らしき人はとても少なく感じた。
レストランで食事を取っていると、店主の子どもたちが珍しそうな目でこちらを見ている。
こちらからウイグル語で話しかけると、びっくりしながらもおもしろそうにいろいろとしゃべっていた。
店主も一緒になって質問をしてきたが、ウイグル語がすべてわかるわけではないので、最終的にジェスチャーで意思疎通を取ることになった。
それでも現地の人とコミュニケーションをとるためのきっかけになったので学習しておいてよかったと感じた。
この旅では、遺跡見学の時にもウイグル人グループと仲良くなって一緒に記念撮影をしたり、遺跡の警備員と会話したりと、片言のウイグル語のおかげで普段接する機会のない人たちと楽しい時間を過ごすことができた。
ここでは外国人が自分たちの言葉を話すなんて思ってもいないだろうから、ほんの少しでもウイグル語を話せば現地のひとはめずらしがって仲良くしてくれる。
ウイグル語学習のメリットはこういうところにあると思う。
新疆の旅行はとても楽しかったが、中国政府はテロを警戒しているので空港や駅のボディチェックはやたらと厳しいのが難点だった。
それでも料理はおいしいし、遺跡も見ごたえがあるのでまた行ってみたい地域のひとつだ。