日本語の発音について学ぶ
外国語学習をする際に、日本語の特徴について確認することはとても重要だ。
だがこの本を読んでみて、これまでの学習は大事な部分を無視して進めてきたのではないかと思ってしまった。
多くの日本語話者が無自覚である日本語の発音の特徴について、この本では詳しく解説されている。
少し難しそうなテーマだが、ユーモアを交えた解説で非常にわかりやすく書かれているので、おすすめできる一冊だ。
想像以上に複雑な日本語の発音
実はこの本を読む前から何となく気が付いていたこともあった。
日本語では「す」の発音をする際に母音が消えているのではないかという点だ。
日本の企業で安川電機という会社があるが、アルファベット表記は"YASKAWA"だ。
有名なCHAGE&ASKAも"ASUKA"ではない。
このあたりの母音脱落についても本書では触れられている。
その他にも子音の発音など、多くの日本語話者が気付いていないであろう特徴があり、我々はそれを知らぬまま外国語を学んでいる。
そのため外国語を話すと、日本語話者特有のクセが出てしまうのだ。
LとRだけでなく、外国人が聴いたら変だと思うような発音は何なのか、そうしたことがこの本では詳しく知ることができた。
うれしいことに日本語と英語だけではなく、他に20以上の言語についてそれぞれ1ページずつ割いて発音の特徴を解説している。
多言語を学ぶ人にとって非常に有益な本だと感じた。
ロシア語学習者は別の書籍がある
同じ著者の書籍で、ロシア語学習者向けに書かれたものも販売されている。
それが、「ロシア語音声概説」だ。
私は両方持っているが、こちらのほうがロシア語に特化されていて、ロシア語を学習している人にとっては有益だと思う。
ただし、日本語について書いてある内容はどちらの書籍にも共通するものも多く、ロシア語学習者でなければ、「脱・日本語なまり -英語(+α)実践音声学-」一冊で十分だろう。