四週間では終わらない
四週間で終わらないことで有名な大学書林の四週間シリーズ。
その中でもペルシア語四週間はボリュームがあって終わる気がしない一冊だ。
私も数年前に買ったはいいもののほとんど手をつけておらず、宝の持ち腐れ状態となっていた。
最近はスペイン語に集中していたのだが、何かに集中しようとすると、どういうわけか別の何かをしたくなるものである。
そこで息抜きにペルシア語四週間に挑戦することにした。
四週間シリーズは全くの入門書として使うには難しい。
私は以前、半年ほど集中して学習したので、文法は一通り終えている。
入門書としてはニューエクスプレスプラス ペルシア語あたりが無難だろう。
入手できるならこちらもおすすめだ。
この本のレベルくらいに達してないと、四週間は難しいと思う。
1日目
さて、初日は文字から始まる。
私は全部わかるので何の苦労もないが、初心者なら到底1日ではマスターできない量である。
記憶が確かであれば私の場合、独学で半月から1か月くらいで、文字を完全にマスターしたはずだ。
この本では、あたかも1日で文字をマスターしなくてはならないかのような構成なので、初心者ならば心が折れるだろう。
2日目
次は発音だ。
この辺りも学習済みの内容ではあるが、かなり詳しい説明がされている。
アフガニスタンで使われるダリー語についても言及されており、マニアにはたまらない内容だ。
しかし、突然「アリフ・マクスーラはペルシア語において非常に少なく」などという説明が登場するところがある。
アラビア語を学んだことがなければ知らないであろう「アリフ・マクスーラ」という用語を何の説明もなく使っているところが、この日の挫折ポイントだろうか。
3日目
ここでは、ハムゼなどの発音符号やアクセントについての説明がされている。
あまりページ数が多くないのでやや簡単な印象だ。
しかし、動詞もまだ学習していないのに「būdanの現在形第一変化はアクセントをとらない」という説明が出てくる。
初心者の心が折れるポイントかと思ったが、ページをめくると、「この段階で上に述べたアクセントの諸規則を覚えることは無理であるから、(中略)文法を終了した時に、改めてアクセントの諸規則をまとめて見ていただきたい」という優しいお言葉で締められていた。
ここでは挫折しないだろう。
4日目
ここでようやく文法に入る。
名詞の不定形や限定の表現に始まり格や複数形などを学ぶことになる。
やはり説明は詳しく、古典での表現も併せて載っている。
最後に、「訳読」と「復習」のコーナーがある。
ここでは、ペルシア語の文章を和訳、日本語をペルシア語で書かせるという問題があるのだが、登場する語彙は直前の「単語」の項に出ているので、あまり苦労はしなかった。
文字や発音の項で出てくる無数の単語を文法の練習問題で注釈もなしにしれっと出してくる不親切な入門書などもあるが、この本はそんなことはないので、その点では良くできている。
5日目
今度は形容詞だ。
解説に使われる文がだんだん長くなっている。
初心者は間違いなくそれぞれの単語がどういう意味かわからないだろう。
それにもかかわらず、「強意のために補語の形容詞を述語の後におくこともある」などと書かれている。
これはある程度ペルシア語をやっていないとわからない説明だと感じた。
おそらく初心者はここで心が折れるはずだ。
その後の比較級や最上級は簡単なのであまり苦労しない。
それにしても古典で用いられる表現についての言及が多い。
この本の対象者はアラビア語学習経験があり、今後は必ず古典もやるという前提で作られたかのようだ。
6日目
ここでは代名詞などの説明に入る。
まだ動詞はやっていないはずだが、訳読と復習では動詞を活用させる問題が出ている。
既習者ならば気にならないが、初心者はもはや諦めの境地に達するのではないだろうか。
一応、問題で使う語彙は「単語」の項に出ているので、既習者なら割と簡単ではある。
7日目
ここでは数字を徹底的に覚えることになる。
基数や序数、分数や掛け算、割り算まで詳しく説明されている。
加えて、時間や年齢、曜日があり、月名に至ってはイラン歴、ヘジラ歴、西暦の3種類も登場する。
覚えることが多くて、心が折れそうになる。
というか、これは一日では覚えられるはずがない。
私もこの日の内容は暗記できていない。
本気でペルシア語をマスターしようとするなら、何日も何日も「第七日」の章を読むことになるだろう。
久々のペルシア語学習となったが、「ペルシア語四週間」の第一週の内容は一日で目を通すことができた。
第二週はどれだけかかるかわからないが、暇を見つけてやってみようと思う。