語学上達に役立つ本を求めて
年末年始の暇な時間に、読書をすることにした。
読むのは最近、話題になっていた「英語独習法」という岩波新書から出たばかりの本だ。
語学の上達法の本は他にも読んできたが、当たり外れが大きい印象だ。
本書は認知科学の専門家が著者で、いわゆる「英語の先生」ではない。
異なる分野の専門家が「語学の習得」にフォーカスしたものであれば、新たな知見が得られそうだと思い、読んでみることにした。
期待通りの内容
新書なので数時間で読み終えることができるが、内容はなかなか優れたものだったと思う。
タイトルに「英語」とあるものの、やはり言語習得そのものに共通する学習法が書かれていた。
もちろん、多くの人にわかるように英語を例に説明が展開されているが、他の言語でも応用可能な知識が得られる。
意外だったのは、ウズベキスタン旅行での日本語ガイドの話が出てきたことだ。
まさか中央アジアが登場するとは思わなかった。
ウズベキスタンも観光地としてかなり認知されてきているのかもしれない。
大まかな内容
あまり内容を書くとネタバレになるので、ここでは簡単な説明にとどめておく。
本書で述べられているのは、英語話者と日本語話者では表面化していない無意識の知識などが異なっていて、ものごとの捉え方、言語での表現の感覚にずれが出てくるというようなことだ。
これを「スキーマ」と呼んでいて、このずれを意識することが重要だという。
もちろん英語話者だけでなく、他の言語の話者にもそれぞれの「スキーマ」があるので、英語以外の言語を学習するときも同様だ。
外国人が、言いたいことはわかるけど変な言い回しの日本語を話したりするのは、「スキーマ」が異っていることから生じている。
多くの言語を(中途半端に)学んできた私も、なんとなくこういうものがあるんだろうな、ということを本書ではしっかり説明してくれたような気がして、とても有益であった。
異分野の視点というものはやはり面白いものだ。