過酷な鉄道の旅
まず、札幌駅を6:48に出発する特急に乗車し、釧路に向かう。
釧路には10:58分に到着するのだが、すぐに11:12発の根室行き快速ノサップに乗り換えなければならない。
これに乗れば根室駅には13:22に到着する。
さらに北方領土が見える納沙布岬へは駅前から13:35にバスが出ている。
バスは1日5本しかないから到着日に観光するなら、この便を逃すわけにはいかない。
結局、バスに乗り換えて最終目的地の納沙布岬に着くのは14:19。
乗り継ぎ時間が短いので食事を取る余裕もない過酷な旅程になってしまうのだ。
そんなこともあり、朝7:30発で目的地まで乗り換えなしで到着する稚内よりも根室は遥か遠くに感じた。
釧路発根室行きの快速ノサップの車両には、作者のモンキー・パンチが沿線の浜中町出身ということもあり、ルパン三世が描かれていた。
納沙布岬へ
稚内市内にあるのはノシャップ岬で、根室市内にあるのは納沙布(のさっぷ)岬と、名前が似ているので混同してしまいそうだ。
きっとアイヌ語由来の地名で、語源は同じなのだろう(調べてはいない)。
根室は日本で人が住んでいる中では最も東にあるので、日が暮れるのも早い。
ゆっくりしている暇はないので、根室についてすぐにバスで納沙布岬に向かった。
納沙布岬は根室市内にはあるが、駅から20キロ以上離れているので、徒歩では行けない。
観光にも時間がかかってしまうのだ。
バスに乗って40分くらいすると、終点の納沙布岬に到着した。
岬からはうっすらと島影が見えた。
きっと歯舞諸島の一部だろうが何という島かはわからない。
岬にある食堂で遅めの昼食を済ませ、北方領土に関する展示がある「北方館」という建物を見学した。
北方領土に関するビデオが上映されているのだが、選択肢の中にひとつだけロシア語の映像があったのでボタンを押してみた。
観光客もちらほらいたので、彼らは私のことをロシア語のビデオを見ている怪しい人と思ったかもしれない。
こんなところに来るロシア人がいるのかどうかわからないが、岬周辺にはロシア語表記の看板もいくつかみられた。
とはいっても、トイレばかり。
こんなところに日本百名城
岬に到着して数十分で霧が立ち込めてきて、周りが見えなくなってきてしまった。
しかし、根室市内行きのバスはしばらく来ない(1日5本しかないのだ)。
納沙布岬で時間を潰すにしても、やることもあまりないと考えるのが普通だろう。
だが、実はここ納沙布岬周辺には隠れた名所があるのだ。
日本の城めぐりをしている人ならご存知かもしれないが、「日本百名城」というものがあり、全国各地にスタンプが設置していて、スタンプラリーができるようになっているのだが、なんと根室にあるアイヌの砦が百名城のひとつに選定されているのだ。
アイヌの砦は「チャシ」といって、根室にはかなりの数のチャシがあるらしい。
その代表的なチャシである「ヲンネモトチャシ」が納沙布岬から歩いて30分くらいの距離にあるので、行ってみることにした。
何もないところをひたすら歩いていく。
天候が悪いと、道路が封鎖されるのだろうか。
人はいないが北方領土の看板はある。
バス停はあっても、バス路線は廃止されたので、停留所名が消されている。
時刻表もない。
30分くらい歩くとヲンネモトチャシに着いた。
チャシの内部は平らな場所や、土を掘ったような場所があったりして、何となく人工的な構造だということはわかった。
ちなみに日本百名城のスタンプはここから遥か遠くの根室駅前に設置されているので、スタンプラリーをやっている人でも、本当にここまで来る人はそれほど多くないらしい。
幸い熊には遭遇しなかったが、納沙布岬に戻るとエゾシカが道路を歩いていた。
後編に続く