わずか5時間の市内観光
日帰りという無理な旅程のため、市内観光に充てられる時間はわずか5時間程度になってしまった。
そのため稚内で一番人気のありそうな観光名所・宗谷岬は少し遠く、前に行ったことがあったので今回はパスすることにした。
そのかわりに、もう一つの岬であるノシャップ岬に行ってみた。
ノシャップ岬は駅前から路線バスで20分もかからないくらいの距離で、歩いていくこともできる。
海鮮系の食堂が数軒あり、ちょっとした観光地になっている。
次に稚内港にある北防波堤ドームという昭和初期の建築物を見に行った。
これは樺太の大泊(現在のコルサコフ)と稚内の間に連絡船が就航していた時代の波よけドームで、ちょうど改修(保全?)工事が行われていた。
柱がきれいなのは工事の成果のようだ。
宗谷岬を除けば、主な観光地はここくらいだろう。
フェリー乗り場の様子
次に、稚内のフェリー乗り場に行ってみた。
ここから利尻島や礼文島といった離島にフェリーが就航しており、やや大きめのターミナルもある。
そしてサハリンのコルサコフにも国際フェリーが就航していた。
あまり採算が取れないのか、2019年には休止となり、2020年もコロナウイルスの関係もあり運航していない。
国際ターミナルに行ってみると、シャッターが閉まっていて全く人気がない。
利尻・礼文行きのフェリーが就航しているこちらのフェリーターミナルは車がとまっている。
商業とロシア
稚内駅から少し離れ、市内の南側へ向かった。
ここは南稚内駅近くにある西條百貨店だ。
中にはスーパーやロッテリアなどもあって、地元の人たちで賑わっていた。
2階は地方のスーパーのように洋服や靴、文房具などが販売されていて、小さなゲームセンターもある。
特徴的なのは、天井からぶら下がっている案内板にロシア語が併記されている点である(残念ながら店内は撮影禁止となっている)。
「紳士服」の下に"Мужской костюм"とか、「婦人洋品」の下に"Женская одежда"などと、掲示されている。
本屋にも"книги"の表示があり、入ってみると露和辞典と和露辞典が2種類ずつくらい販売されていた。
ロシア語辞典など地方のスーパーの本屋には普通売っていないので、国境の街ならではの品揃えといっていいだろう。
西條百貨店の近くにはサハリンバザールなる店があったが営業していなかった。
ここは明らかにロシア人向けの店だろう。
店の入り口には連絡先の書かれた紙が貼ってあったが、新型コロナウイルスの影響で商売にならないのだろうか。
商工会議所の看板にもロシア語表記があった。
経済交流は順調なのだろうか?
時間つぶしの散歩
帰りの便まで少し時間があったので、稚内公園に行くことにした。
こちらの案内板も3か国語表記である。
ちなみに「ノシャップ岬」が"Cape Noshappu"になっている。
アオカンは"Noshappumisaki"だったので、統一感がない。
稚内公園の入り口付近は神社になっていて、鳥居を抜けて階段を上ったところに、いくつか建物がある。
階段を上りきったところに、台座みたいなものがあり、その上に鹿の像があるな、と思っていたら、像ではなくてエゾシカそのものだった。
朝方と夕方はエゾシカが最も活動する時間帯のようで、この時は2匹のエゾシカが神社の敷地内で草を食べていた。
札幌では市街地にエゾシカが出るとニュースになるが、ここでは珍しいものでもないらしい。
帰りの列車に乗るときも、駅のホームの外でエゾシカが草を食べているのが見えた。
天気にも恵まれ、大量のキリル文字を見ることができ、おまけに野生動物にも遭遇するという楽しい旅となった。
5時間程度の滞在でも十分楽しめるのだが、宗谷岬に行くのであれば、1泊くらいしたいところだろう。
おまけ
案内標識の外国語が意外と適当なのはわかったのだが、西條百貨店の近くで明らかな間違いのある看板をみつけたので、撮影してきた。
ロシア語をかじったことのある人ならすぐにわかる間違いなので、探してみてほしい。