中央アジアの大国ウズベキスタンの言語
昔からの中央アジアファンの私は、ウズベキスタンはもちろん、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタンへの渡航歴がある。
その中でも、サマルカンドのレギスタン広場やブハラの旧市街など観光資源が豊富なウズベキスタンは最近注目されている(ような気がする)。
その割に、この国の公用語であるウズベク語に関する書籍が非常に少ない。
中央アジアの中でも人口が一番多く、往来する日本人が増えているのにその国の公用語を学ぶ方法があまりにも寂しい状況なのだ。
しかし、文句ばかり言ってもしかたないので、少ない資源を活かしてウズベク語を学ぶ方法を考えてみることにした。
ウズベキスタンの言語事情は?
そもそもウズベキスタンは旧ソ連を構成していた15の共和国の一つで、ロシア語が広く通じる。
私が行ったとき(10年以上前)もロシア語オンリーで特に苦労することなく旅することができた。
ただし、近年はウズベク語の優位性が増してきているようで、状況は変わってきているようだ。
Youtubeで様々なエンタテインメントのコンテンツを楽しむことができるが、ウズベキスタンのものはウズベク語のものばかりで、ロシア語のものはあまり見当たらない。
まだまだロシア語が通用する隣のカザフスタンとは状況が違うようだ。
ウズベキスタンは中央アジアでも最も人口の多い国(約3,200万人)である。
国民全員の母語がウズベク語というわけではないが、こうした地域大国の言語ならば学習者の需要も増えてくるのではないか。
なんとかしてウズベク語を学ぼう
私はウズベク語を学んだことがないが、長年の語学歴のおかげで語学書の良し悪しについては大体見当がつく。
ウズベク語についてもこの機会に書店、図書館、そしてなぜか自宅にある書籍を確認してみた。
少ないながらも2018年9月時点で存在するいくつかの書籍でどのような学習が可能か以下にまとめた。
①CD BOOK はじめてのウズベキ語(明日香出版社)
うわ、これはヤバそう。
そもそも「ウズベキ」ってサッカーの実況・解説でしか聞いたことがないぞ。
「ウズベキ!ウズベキ!」って松木安太郎が連呼する名称だ。
内容を確認したらただの会話集だ。
文法などはこれでは理解できないだろう。
一般の書店に流通している唯一のウズベク語(ウズベキ語?)の書籍という点と、CDが付いている点のみ貴重。
amazonのレビュー見たら、「綴りが間違っている」など不評が目立つ。
同じシリーズでロシア語のものがあったが、それと同様にその言葉の「さわり」だけの人向けだろう。
というわけで、私はこれを使わないことにした。
②ウズベク語の語彙本9000語(T&P_BOOKS)
これも怪しい。
書店で一度も見たことがないが、多分本当にウズベク語の単語と日本語の訳が載っているだけだろう。
amazonで検索したら、同じデザインの英語版が関連商品で表示されている。
日本人向けに作られたものではなさそうだし、私は辞書を持っているので、この書籍は使わないことにした。
③ウズベク語簡易文法便覧(桜耶書院)
非常に安価なので、数年前にamazonで購入した。
今はkindleで購入できるようだ。
600円と非常にリーズナブル。
著者はタシケントに留学していた方で、留学時に書き溜めていたノートを書籍化したとのこと。
著者の専門は言語学ではないが、ネイティブチェックはしている模様。
しかし、これ一冊でウズベク語を学ぶのは厳しそうだ。
ないよりはあった方がいいだろう。
プラスアルファの参考書といった感じ。
④ウズベク語初級ーウズベキスタンへの招待(ブイツーソリューション)
すでに流通しておらず、中古で高額で取引されている書籍。
この本はなんとCD付きだ。
図書館にあったので、内容を確認してみた。
はじめて学習する人向けで、入門書としては良さそうな印象。
キリル文字とラテン文字の両方が用いられており、ロシア語をやったことがない人は少し苦労するかもしれない。
今度、図書館で付属のCDを聴いてみようと思う。
音源がある入門書という点で活用すべき書籍かもしれない。
ただし著者は言語の専門家ではない(リハビリか何か)。
⑤ウズベク語文法・会話入門(大阪大学出版会)

- 作者: 吉村大樹,ジュリボイ・エルタザロフ,大阪大学世界言語研究センター
- 出版社/メーカー: 大阪大学出版会
- 発売日: 2009/10/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 27回
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この本は買おうと思っていたら、いつの間にか流通しなくなっていた。
ただし、図書館にあったので早速借りてきた。
内容的には私の知る限り最も優れたウズベク語の入門書だと思う。
音源があれば文句なしだっただろう。
やはり発音はいくら文章で説明されてもイメージしづらいし、うまく表現できないものだ。
文法の説明は丁寧なので、この本をやり遂げたらそこそこの力がつきそうである。
私はこの本で学習することにした。
⑥簡明ウズベク語文法(大阪大学出版会)
私がいまウズベク語をやろうとしているのは、数年前にこの本を入手したためである。
泡銭が入った勢いで、辞書まで買ってしまった。
何とか活かそうと思ったが、実はこの本だけではどうもウズベク語の基礎的な部分が身に着かないのだ。
追加の参考書的な雰囲気を感じる。
音源もないので⑤で文法の基礎を学んでから読んでみようと思う。
こちらは高価だが、まだ入手可能(2018年9月現在)。
⑦やさしいウズベク語ー文法と会話(泰流社)
図書館で見つけた古い本。
ラテン文字で表記されているが、1992年に制定された現在の正書法と異なるので、わざわざこの本を使う必要はない。
⑧Uzbek: An Elementary Textbook(Georgetown Univ Pr)
私が持っている洋書。
付属のCD-ROMで楽しみながら学習できるはずだが、あまり楽しんだ記憶がない。
学校で先生がいる授業で使うような教材。
値段が高いのも残念。
気が向いたらまた使ってみたい。
まとめ
というわけで、いろいろな書籍を見てみたが、どれも決め手に欠ける感じは否めない。
⑤「ウズベク語文法・会話入門」を基本に、アクセスできる環境であれば④「ウズベク語初級ーウズベキスタンへの招待」を使っていくのが良さそうに感じる。
時間ができたら実践してみたいと思う(実はタジク語もやりたいのでいつになるかな?)。
というか、ニューエクスプレスシリーズなどでCD付きのウズベク語入門書を出版してもらいたいものである。
白水社さん、よろしくお願いします!
追記(2019.3.11)
ようやく音声付きの教材が発売されるようだ。
少し高いけど試してみたい。