旅は行けるうちに行くべき
いつか行ってみたい、などと思っているうちに戦争が起こったり、災害で遺跡が崩壊したりして、二度と行けなくなることもある。
私も、あの時行っておいて良かった、などと思う旅行がいくつもある。
「お前が行った場所には災害が発生する」という人もいるくらいだ。
今はコロナのせいで海外旅行自体行くのが難しいが、これまで行った中でコロナが収まってもしばらく渡航できなさそうな場所を振り返ってみたい。
アサド政権下のシリア旅行
アラブの春以降、ISや政府、クルド人勢力などとの内戦が続いているシリア。
私は2009年に旅行していて、主要都市や遺跡を巡った。
この国を旅行したことがあるというと、驚いた顔をされるのだが、かつては比較的治安のいい国だった。
実際、トルコ経由で飛行機を乗り継いで、現地に到着したのが午前2時頃。
それから宿探しをしても危険を感じなかった。
最初に訪れたのは北部にあるアレッポという都市で、ここはその後の内戦で激戦地となったところだ。
ここにはアルメニア人なども住んでいるらしく、キリスト教の教会も数多く存在した。
ヨーロッパ風の遺跡が豊富
シリアは地中海の東端にあり、かつてはローマ帝国の領土であった。
そのせいか、当時の移籍がいくつか残っている。
そんな遺跡巡りの途中にハマという巨大な水車で有名な街に立ち寄った。
ハマを経由して、アパメアというローマ時代の遺跡を見に行った。
イタリアとかにありそうな柱が果てしなく並んでいた。
観光客もいないので貸し切り状態であった。
内戦時には盗掘の被害に遭ったらしい。
確かに柱の一部なんかは持っていけそうだった。
続いては、中世の十字軍が建てた城に行った。
クラック・デ・シュヴァリエと呼ばれる石造りの城は、世界遺産にもなっているが、シリア内戦で一部が破壊されたようだ。
当時のシリアビザにも描かれていたパルミラ遺跡はISに破壊されたようだ。
ここが旅のハイライトだったが、体調を崩していて、なんとか歩き回った思い出の地だ。
なお、シリアで点滴を打っても30ドルくらいしかかからなかった。
首都ダマスカスでテロ支援国家の雰囲気を感じる
最後に首都であるダマスカスを観光した。
この街には世界最古のモスクであるウマイヤドモスクという建物が残っている。
異教徒の観光客でも中に入ることができた。
ダマスカスで印象に残っているのは、バザールを歩いているときに見かけた東アジア風の顔つきの男女が金日成バッジをつけていたことだ。
海外にいる北朝鮮の人民ということは政府関係者なのだろうか。
当時はアメリカがシリアやイラン、イラクなどを「テロ支援国家」と呼んでいたが、それらの国のつながりを感じた旅となった。
ダマスカスは内戦時に、大部分を政府側が掌握していたようで、それほど破壊はされていないかもしれない。
しかし、このとき足を延ばした隣国レバノンの首都ベイルートは2020年8月に硝酸アンモニウムの爆発により、多くの建物が崩壊している。
まさに二度と行けない旅になってしまったようだ。