韓国にある日本風の城跡
航空券が安いと計画もいいかげんになりがちである。
勢いあまって釜山行きの航空券を購入したのだが、どこで何をするかは直前までノープランの状態であった。
今回の旅の目的地は行きの飛行機の中で決めた。
韓国南部には16世紀末に豊臣秀吉が出兵した際(文禄の役・慶長の役)に築いた城跡が残っているという。
そうした城跡のうち、保存状態が良好な順天、泗川という釜山から100キロ以上離れたところにある城を見に行くことにした。
日本百名城のスタンプラリーに手を出したことがあるが、まさか海外で日本式の城を見れるなんて考えてもいなかった。
倭城めぐりに備えて、本は購入していたのだが、城めぐりメインの旅にすると決めたのは釜山到着直前であったのだ。
辺鄙な場所に行くには韓国語が便利
せっかく韓国に行くのならと思い、昔勉強していた韓国語も復習し、文字は読めて簡単な単語はわかる状態で釜山に上陸したのだった。
勉強の成果もあり、バスターミナルでチケットを買うことは難なくできた。
問題は城跡が街の中心部から離れた場所にあることだ。
最初の目的地は倭城の中でも最西端にある順天倭城である。
順天のバスターミナル前にはタクシーが何台も止まっていたので、朝早くから順天倭城に向かうことにした。
「スンチョンウェソンエ カ ジュセヨ(順天倭城に行ってください)」とタクシー運転手に伝えるも、運転手は分からないようだった。
これは語学力の問題ではなく、倭城の存在があまり知られていないことが原因で、無料の順天市内案内マップを見せると運転手はようやく理解したようだった。
「早く出発したら最悪歩いて帰れるだろう」という考えだったのだが、順天倭城は予想以上に遠いようだ。
運転手からは「帰りの交通手段がないからここで待っているよ」と言われたので、城跡の見学時間を「ハンシガン(1時間)」と伝えて順天倭城見学に向かった。
語学力が微妙なので単語で勝負するスタイルだが、意外と通用していた。
順天倭城
タクシーを降りると何にも活用されていないような広大な土地が視界に入った。
これが倭城の跡らしい。
まずは城の外郭なのか堀の跡と思われる遺構が広がっていた。
順路を進んでいくと、門の跡と思われる石垣が2回登場する。
石垣は積み直されているのか、美しく整っている。
さらに進んでいくと天守台跡も残っている。
本丸一帯も石垣が残っていることもあり、城の構造がよくわかる遺跡となっていて面白い。
朝早いということもあってか、見学者は私以外誰もいなかった。
城跡を独り占めできるのは遺跡好き・城好きの私にはとてもうれしいことだ。
日本ではこういったことはないので、城マニアの方はぜひ倭城を見学してもらいたいものだ。
見学当日は快晴だったのだが、構内に生えていた草が少し長く、濡れていたこともあって、私の靴の中もかなり濡れてしまったのが残念な点だ。
防水スプレーをかけておくべきだった。
持参したガイドブック(「倭城を歩く」という本)に掲載された図と照らし合わせながら見学していたら、すでに1時間を超えていた。
急いでタクシーに戻り次の目的地に向かうことにした。
※順天バスターミナルから順天倭城までタクシーで16,000ウォンくらいでした(2019年8月末)。日本円で往復3千円くらいといったところでしょうか。