日中戦争発端の地
北京の南西に日中戦争が本格化する発端となった「盧溝橋事件」の現場がある。
12世紀に完成したという盧溝橋はマルコポーロも訪れたとされていて、英語では"Marco Polo Bridge"と表記されている。
日本では戦争絡みで有名なのかもしれないが、歴史ある橋ということもあり、見に行ってみることにした。
盧溝橋は最寄りの地下鉄駅である大瓦窯駅から少し距離がある。
連日の観光で疲労が溜まっていたためタクシーを利用したところ、一方通行の関係か別の橋で川を渡って盧溝橋の西側で降ろされた。
観光地であるためか、橋を通行するのに入場料(20元)がかかる。
これは予想外であった。
敷地内の案内には中国語や英語の他に日本語表記もされていた。
中国人民抗日戦争紀念館へ向かう
盧溝橋を渡り、北京市内方面側(東側)には宛平県城という城郭都市が広がっている。
城内には中国らしい街並みが広がっていて、その中心に中国人民抗日戦争紀念館(記念館ではなく紀念館らしい)という施設がある。
小泉元総理も訪れたというこの施設は入場料がかからなかった。
こちらも想定外である。
中国人民のみなさんは身分証を提示して入場券を受け取るシステムだが、外国人はパスポートを提示しなくてはならない。
係員のお姉さんが外国人の発券方法がわからず戸惑っていたが、特段日本人だからといって困ったことにはならなかった。
入館するといきなりちょっとこわいモニュメントが現れた。
ここで写真を撮っていると、見学に来ていた人に記念撮影を求められた。
私はその人のスマホで「イー、アル、サン!」とか言いながら写真を撮ったのだが、まさか日本人に撮ってもらっているとは知る由もないだろう。
中国で道をきかれたり、観光地で記念撮影を頼まれることは多かったが、まさか抗日紀念館で話しかけられるとは思わなかった。
展示は撮影禁止なので入り口付近しか写真はない。
説明は中国語と英語だけだが、たまに当時の日本の新聞や日本兵の所持品などが展示されているのでじっくり見ると時間がかかる施設である。
展示内容は思ったほど強烈ではなく、誇張している部分はあるだろうが淡々と戦争について説明しているように感じた。
無料で入ることができる施設にしてはよくできているのは、ここが愛国教育に関連しているからなのだろう。
大人の社会見学としていく価値は十分あると思う。
難点を挙げるとしたらアクセスが不便だということくらいだろう。
中国を旅して感じたこと
戦争紀念館の見学が終わり、徒歩で地下鉄駅まで向かった。
この盧溝橋・抗日戦争紀念館は片道だけなら歩いてもそれほど辛くはない。
今回の長旅もほぼ最終日(翌日早朝に帰国)なので中国らしい雰囲気を味わっておきたいということもあり、のんびり満足な散歩することができた。
北京に3泊、そして旅の序盤は広州にも1泊しているので中国はトータルで約5日間の滞在であったが、なかなか面白い体験ができたと思う。
他の国では英語がそこそこ通じたり、固有名詞を出せば意思が伝わったりするのだが、中国は英語が通じず、固有名詞もずいぶんと音が変化してしまうので伝わらないことが多かった。
また、顔立ちが似ていることもあり中国語で話しかけられる機会が多かった。
そうしたことから、あることを感じた。
それは中国語ができるのとできないのでは中国を旅行するときの便利さが大きく変わるということ。
また、その便利さの程度が別の国でその国の言語を知っているかどうかに比べてきわめて大きいということだ。
思い返せば、アゼルバイジャン行きの飛行機でも中国語で話しかけられたり、スペインの薬局でも中国人スタッフがいたりと、中国以外の国でも中国語を知っていると何かと便利そうな場面は何度もあった。
日本でも中国人と間違って話しかけられたこともあったので、中国語を知っていて損はないだろう。
そんなわけで帰国したら中国語をやってみようかなという気持ちが少し芽生えた北京旅行となった。