欧州最後の秘境?
スペインからアテネ経由でジョージアの首都トビリシに到着した。
6日間滞在する予定で、いろいろな場所を観光しようと思っていたが、これまでの無理な移動の影響で疲労が溜まっていたので、トビリシの宿に5泊することにした。
これでしばらく重い荷物を持っての移動から解放される。
というわけで、ジョージア滞在中は基本的にトビリシから日帰りで行ける範囲での観光となった。
この国に到着するとまず目に入るのが独特の文字である。
他の国ではまず見ることのないジョージア文字が溢れる空間は、この国に来たばかりの人間にとっては異様な雰囲気に感じるはずだ。
私は渡航前にアルファベットだけ学習してみたが、単語は知らないので何が書いてあるのか全く分からない状況であった。
ただ、街を歩いていると観光客相手の旅行業者や土産屋、レストラン店員、ホテルの従業員などは英語で話しかけてくることもあり、これまで旅した国と比べて意思疎通は比較的スムーズであった。
加えて、この国の人の多くはロシア語を話せるので、看板の文字は読めないが個人的にはとても旅行しやすい場所に感じた。
首都トビリシの旧市街を歩く
ジョージアの首都トビリシの主要な観光地は旧市街に集中しているので徒歩で回ることができる。
到着した日の昼くらいから街歩きを始めたが、夕方には大方見終わってしまった。
まず、旧市街を見下ろすナリカラ要塞に行ってみた。
ここへは旧市街の坂道を登っても行くことができ、麓からロープウェーで登ることもできる。
要塞からはトビリシの街が一望できるのだが、その日は天気も良くて遠くの山脈まで見ることができた。
川の向こうにはジョージア正教会の総本山の教会(サメバ大聖堂)や、2本のパイプ状の建築物、川には斬新なデザインの橋が見える。
いずれもここ十数年くらいの間にできたそうだ。
トビリシの中心部を流れるクラ川では釣りを楽しむ人がいた。
ジョージアで伝統的に使われてきたワインを注ぐ器を持つ人の像もある。
旧市街にはもともとのジョージア正教会の総本山であるシオニ大聖堂がある。
中に入ってみたが、内部の壁に描かれた宗教画は美しく、スペインで見たカトリック教会のものとは一味違っていて新鮮に感じた。
旧市街は古い建物が多かった。
特徴的な形の建物や、壁に絵が描かれた建物もあり退屈しない。
夕方になるとナリカラ要塞はライトアップされる。
夜でもこの辺りは人通りが多く、あまり危険を感じなかった。
歩いてみて感じたトビリシの特徴
トビリシ滞在中は旧市街と、川を渡った先のアブラバーリ地区を中心に歩いていた。
この辺りは観光に便利なエリアにあるせいか、小規模ホテルが極端に多かった。
また、歩いていて目につくのはワインショップとツアー業者、レストランなど観光客を相手にした商売ばかりだ。
頻繁に「ツアーに興味はないか」と声をかけられたりもする。
他の国と比べて声をかけられる回数が圧倒的に多い。
そしてみんな英語で話しかけてくる。
なんだか観光とワインくらいしか産業がないのかな、と思ってしまう程だ。
それから、この街の建物はかなり老朽化したものが多い。
いまにも崩れてしまいそうな、というか一部崩れている建物も目にすることが多かった。
少々歪んでいても、ほとんどの建物に人が住んでいるようだ。
地震が起きたらかなりまずいことになるのではないだろうか。
後日、訪問したアゼルバイジャンではこのような建物を見ることがなかったので、きっとジョージアは経済的にはまだまだ発展していないのだろう。
この国に来た人は誰もが気付くだろうが、野良犬が非常に多かった。
トビリシに限らず、ジョージアでは訪れた場所にはたいてい野良犬がいて、滞在中は犬を見ない日はなかった。
ただし、どの犬もおとなしくて人に向かって吠えたりする場面を見ることはなかった。
尻尾を振って近づいて来たり、目が合うとしばらくついてきたりもする。
狂犬病のワクチン接種をしたという印だろうか、ジョージアで見た犬は耳に円形のタグがつけられていた。
そんなこともあり、犬嫌いでも比較的安心して観光することができるだろう。
一方で犬好きにはたまらない観光地なのかもしれない。
私は昔トルコで約8匹の猛犬に囲まれた上に5分くらい吠え続けられた経験があり、犬があまり好きではなかったが、トビリシの犬ならうまくやっていけそうな気がする。
野良犬と人間が共存する街、トビリシはそんな場所であった。