テルナテ観光ダイジェスト
首都ジャカルタから飛行機で4時間ほどで北マルク州のテルナテに到着した。
テルナテは周囲50キロ程度の小さな島で、島の中央にはガマラマ山という活火山がそびえている。
テルナテを含めこの周辺には日本でいう「○○富士」と名付けられそうな成層火山が多く、テルナテから見える隣のティドレ島(*写真)の景色はとても美しい。
この景色はインドネシアの旧1,000ルピア札の裏にも描かれている。
島内にはヨーロッパ人が残した砦も多い。
主なものを挙げると、市内中心部にあるFort Oranjeをはじめ、Benteng Tolokko(*写真)、Benteng Kalamata、Benteng Kastelaなどがある。
いずれも石造りで保存状態も良好だった。
観光客はほぼゼロで、独り占めすることができる。
ちなみにBentengとはインドネシア語で「砦」や「城」を意味する。
市内中心部の近くには王宮(*写真)があり、古くからこの島を支配していたスルタンの子孫が今でもそこに住んでいる。
内部は博物館になっているようだが、いつ開いているのかわからない。
私も行ってみたがその時は開いていないようだった。
また、海もきれいで水が透き通っている。
島内では特に北部のSulamadahaという砂浜(*写真)はおすすめだ。
しかし平日ということもあってかビーチにはほとんど人がいなかった。
若者数人とビーチで商売をしている人を見かけたくらいだ。
近くのJikomalamoというビーチではシュノーケリングもできるようだ。
こちらもほとんど人はいなかった。
テルナテはビーチを独り占めできる穴場スポットなのかもしれない。
市場と独特なマルク料理
外国の地方都市に行くと市場に行ってみたくなる。
たいていは活気があり、街の中では味わうことのできない雰囲気の中に身を置くことができる。
テルナテでもそれは同じだった。
ここは海に囲まれていることもあり、魚が多く売られていた。
その他にもバナナや香辛料、野菜など様々なものが売られていて見ていて飽きることはなかった。
地元の人たちも外国人が珍しいのか気さくに接してくれる。
片言のインドネシア語でコミュニケーションをとるのも旅の醍醐味だろう。
ここテルナテの名物料理といえばゴフ・イカン(Gohu Ikan)とポペダ(Popeda)だろう。
ゴフ・イカンは生魚を小さく切って香辛料やシトラスを混ぜた料理で、非常にスパイシーだった。
魚そのものの味覚というよりは、酸っぱさと辛さを強く感じる料理で、同じ生魚でも日本の刺身とは趣が全然違う。
次にポペダだが、これはサゴ椰子のでんぷんをお粥にしたもので、このでんぷんをスープ(ソース?)につけて食べるらしい。
食べてみると、でんぷん自体はほとんど味がなく、スープの味しかしなかった。
一回食べれば満足、というのが率直な感想だ。
ちなみに私がポペダとゴフ・イカンと食べたのはこちらの食堂だ。
どうやら地元では有名な店で、lonely planetにも掲載されていた。
市場を散策したついでに立ち寄るのにちょうどいいところだ。
動物や植物について
テルナテ島内を歩いていると、鶏が非常に多いことに気づくはずだ。
放し飼いにしているのか街を外れると至る所で目撃する。
朝はコケコッコーと鳴く声がそこらじゅうで聞こえてくる。
ほかにヤギやネコもいるが犬はほとんどいなかった。
郊外に行くと牛も見ることができる。
植物は椰子の木やバナナなど、熱帯らしさを感じるもので溢れている。
テルナテの歴史を語るうえで欠かせないクローブの樹ももちろんあった。
花も鮮やかなピンクや紫、赤のものが咲いていてきれいだった。
こうした植物をゆっくり眺めながら過ごす休日はとても贅沢に感じた。
旅を終えて
ガイドブックにも載っていないマイナーな場所ではあるが、実際に旅をしてみると想像以上に楽しかった。
まず、観光スポットはほぼ独占状態なので非常に落ち着く。
食べ物もやや辛いが、魚やフルーツをはじめおいしいものが多かった。
そして地元の人たちがとてもフレンドリーでどこへ行っても歓迎されている様だった。
観光地にありがちな騙そうとして近寄ってくるような人間も圧倒的に少ない。
そもそも外国人観光客自体、同じ宿に泊まっていた2組(英語圏の人たちと中国人)以外見なかった。
観光地として注目すらされていないテルナテだが、日常の生活を忘れて休日を過ごすには絶好の場所なのかもしれない。
時間があればまた滞在したいと思える、そんな島であった。